会社印鑑・法人印鑑の種類と使い分け

法人印鑑には実印や銀行印、認印、角印などさまざまな種類があり、それぞれ用途や場面に応じて使い分けます。
ここでは、法人印鑑の種類と使い分けについて詳しくご説明いたします。

会社印鑑・法人印鑑の呼び方について

「会社印鑑」「法人印鑑」「会社印」「法人印」「事業印」「社判」など、ビジネスで使用されるハンコには様々な呼び方があります。これらはすべて同じ意味であり、「会社印」や「法人印」も同じものを指します。個人事業主やフリーランスが使用するハンコもここに含まれます。
ビジネス用のハンコ=会社印鑑・法人印鑑・会社印・法人印・事業印・社判 という認識で問題ありません。

※学校法人や団体などは、会社という形態をとらないので「法人印鑑」と呼ぶ方が自然です。「会社」よりも「法人」の方が包括的な意味合いがあります。

会社印鑑・法人印鑑の種類

代表者印代表者の肩書きが彫刻された印鑑。実印も認印も代表印に含まれる
会社実印法人登記のために法務局へ提出する印鑑。法人の存在を証明する重要な印鑑
角印法人名や団体名が彫刻された正方形の印鑑。ビジネスで頻繁に使用される
会社銀行印法人口座開設時に届け出る印鑑。財務を管理する重要な印鑑
会社認印登録をしていない代表者の印鑑。「印鑑証明書は不要だが代表印が必要」という場合で使用する
役職印役員や管理職の肩書きが彫刻された印鑑。主に権限内での契約印として使用される
肩書印/職印士業資格や大学・研究機関など肩書きが彫刻された印鑑。所属する団体によって形状やサイズの規定がある
住所印法人名・団体名、住所、代表者名、電話番号などの情報を組み合わせたスタンプ

個人用の印鑑については「印鑑の種類と使い分け」をご確認ください。

※個人用の印鑑との混同を避けるため、見出しには「会社実印」や「会社銀行印」のように「会社」を付けて表記いたします。

代表者印

代表者の肩書が彫刻された印鑑を「代表者印」といいます。代表者印は会社実印と混同されがちですが、代表者印で、なおかつ登記されている印鑑が「会社実印」となります。また、代表者印で登記されていない場合は「会社認印」となります。
会社実印は最も重要な印鑑なので、セキュリティの観点から印鑑証明書が求められる場合のみ押印します。印鑑証明書が不要であれば、会社認印を使用します。

【法人形態別の肩書き一覧】

代表者印に刻印される肩書きは会社形態に応じた代表名が入ります。法人の代表者印には、個人名は入れません。個人名を入れると法人ではなく、個人の印鑑となってしまうためです。

法人形態肩書き
株式会社代表/代表取締役
有限会社代表/代表取締役
合同会社代表/代表社員
有限責任事業組合組合長
特定非営利活動法人理事長/代表理事
一般社団法人理事長/代表理事
公益社団法人理事長/代表理事
一般財団法人理事長/代表理事
公益財団法人理事長/代表理事
学校法人理事長/代表理事
医療法人理事長/代表理事
宗教法人代表役員
個人事業代表

会社実印

法人用の実印は、法人設立時に法務局に提出する商業・法人登記で必要な代表の印鑑を指します。登記を済ませた実印は、法人の存在を証明する重要な印鑑であり、印鑑証明書と併せて使用されます。管理運用のセキュリティ対策が必要で、捺印管理簿を用いる企業もあります。

※ オンライン申請で登記される際には印鑑登録が省略可能です。

印鑑登録の条件

実印の登録条件は、辺の長さが10mmを超え、30mm以内の正方形の中に収まるものであり、枠が付いたものである必要があります。この条件を満たせば、内容は問われません。例えば、登記した屋号がカタカナであっても、アルファベットで彫刻することができ、肩書の部分をロゴに変更することも可能です。条件はサイズと枠を付けることだけですので、法人のイメージに合わせた実印を作成できます。

会社角印

法人用の角印は、法人形態や屋号、事業などの組織名称で作る正方形の印鑑を指します。登録はされませんが、ビジネスで頻繁に使用され、かつては会社の顔とされることもありました。角印は権威の象徴であり、慣習として大きな印鑑が好まれていました。近年では会社のイメージに合ったデザインやサイズ感が重視されています。

文字が漢字やかなの場合は縦向き、アルファベットの場合は横向きに作り、文字が美しく見えるように工夫します。また、文字数や空間から判断して、「印」または「之印」の字を入れて最適なデザインとなるように調整します。

会社銀行印

法人用の銀行印は、法人口座を開設する際に提出する印鑑を指します。登録を済ませた銀行印は財務を管理する重要な印鑑となり、セキュリティ対策が必要です。銀行印は実印との誤用を防ぐために一回り小さく作成されます。

会社認印

登録をしていない代表の印鑑を認印といいます。防犯上、実印の多用は避けるべきですので、印鑑証明書が不要で、代表印が必要な場合に使用します。認印も実印と同じサイズでの作成が推奨で、デザインの変更や収納ケースの工夫によって誤用を防ぐことができます。

役職印

役職印は、社名や団体名と役員や管理職の肩書を表した印鑑を指します。印鑑証明が必要な場合は、実印が必要となりますが、事業責任者決済のみで進めれる契約においては効果を発揮します。社内においても意思表示や責任の所在を明確にする印鑑として重要です。

肩書印/職印

弁護士、行政書士といった士業における資格者や、大学や研究機関など肩書をお持ちの方の個人名と肩書を表した印鑑を肩書印または職印といいます。士業関係では士業印ともいいます。形状やサイズは所属する団体によって規定がある場合もあります。作成される場合は先ず所属する団体の規定をご確認ください。

丸印では、一般的に縦3行で作成し、右行に姓、中行に太文字で肩書、左行に名を彫刻します。角印では肩書、姓名、印または之印の順番で彫刻します。

住所印

団体名、住所、代表者名、電話番号などの情報を組み合わせたスタンプを住所印といいます。これらも法人印、社判に含まれます。様々な項目を独立して押印できる組み合わせ住所印は非常に便利です。

用途から見る必要な印鑑

ビジネスのさまざまな場面で必要な印鑑について、用途から見ていくと以下のようになります。
これらの印鑑を適切に用途に応じて活用することで、法的手続きが円滑に進み、ビジネスがスムーズに展開します。

起業の際代表者の実印、会社実印、会社銀行印、住所印が必要。
法人口座開設の際会社実印、会社銀行印、住所印が必要。
融資を受ける際会社実印、会社銀行印、代表者の実印が必要。
賃貸契約の際会社実印、会社銀行印、住所印が必要。
取引基本契約の際会社認印または役職印が必要。
請求書、領収書発行の際会社角印が使用される。

起業の際

  • 代表者の実印(印鑑証明書付き)
  • 会社実印
  • 会社銀行印
  • 住所印

オンラインでの登記の際には印鑑を省略できますが、法務局で手続きをする場合にはこれらの印鑑が必要です。法人設立に伴い、法人用の会社実印が不可欠です。代表者の本人確認には実印と印鑑証明書が必要であり、登記後は口座開設のために会社銀行印も必要です。記入書類が多いため、代表者用と法人用の組み合わせ住所印もおすすめです。

法人口座開設の際

  • 会社実印(印鑑証明書付き)
  • 会社銀行印
  • 住所印

オンラインでの申請の場合もあるが、窓口で手続きをする場合にはこれらの印鑑が必要です。法人口座開設には実態証明として実印と印鑑証明、登記簿謄本が必要であり、口座開設用の銀行印も必要です。書類が多いため、法人用の組み合わせ住所印もおすすめです。

融資を受ける際

  • 会社実印(印鑑証明書付き)
  • 会社銀行印
  • 代表者の実印(印鑑証明書付き)
  • 住所印

日本政策金融公庫や銀行から融資を受ける際には、実態証明として実印と印鑑証明書、登記簿謄本が必要です。振込口座や引き落とし口座として銀行印も必要であり、契約書などで認印が必要な場合もあります。書類が多いため、法人用の組み合わせ住所印もおすすめです。

賃貸契約の際

  • 会社実印(印鑑証明書付き)
  • 会社銀行印
  • 住所印

契約内容により異なりますが、概ね実態証明として実印、印鑑証明書、登記簿謄本が必要です。口座振替の場合は銀行印も必要です。書類が多いため、法人用の組み合わせ住所印もおすすめです。

取引基本契約の際

  • 会社認印または役職印

契約内容によりますが、概ね会社認印での契約が可能です。印鑑証明書の提出が必要な場合、会社実印が必要となります。事業責任者に権限委任がされており、相手方の了承を得ている場合は役職印で契約の締結ができます。

請求書、領収書発行の際

  • 会社角印

文書に記載された住所の右側に掛かるように角印が押されます。会社の住所であれば会社の角印、事業や店舗の住所であれば店舗の角印が押されます。請求書や領収書の発行においては、法的な効力を持たせるために角印が使用されます。住所や内容が異なる場合は、用途に合わせて適切な角印を使用します。

揃えておく印鑑

様々なビジネスシーンにおいてスムーズに進めていけるよう、事前にハンコや道具を準備しておくことが大事です。

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