離婚の手続きに必要な印鑑とは?

離婚は、決断するまでにも、決断してからにも、多くのエネルギーを使うものです。手続きの書類を前に、「印鑑は何を用意すればいいの?」と、ふと手が止まってしまうことがあるかもしれません。この記事では、離婚に関わる手続きで必要な印鑑を、場面ごとに整理してお伝えします。

まず確認:姓は変わりますか?

離婚後に姓が変わるかどうかで、印鑑の準備が異なります。最初にここを確認しておきましょう。

あなたのケース実印銀行印
姓が変わる(旧姓に戻すなど)新しく作り直しが必要新しく作り直しを推奨
姓が変わらないそのまま使えるそのまま使える

離婚届を提出した時点で姓が変わります。それと同時に、旧姓(婚姻中の姓)で登録していた印鑑登録は自動的に廃止されます。新しい姓での印鑑登録は、住民票の変更後に改めて行う必要があります。

離婚手続きのための印鑑準備フローチャート

実印をお持ちでない方へ

離婚の手続きの中には実印が必要な場面があります。しかし、実印をまだ持っていない場合、婚姻中の姓で新しく作ることはほぼ意味がありません。すぐ使えなくなるからです。では、どうすればよいのでしょうか。

実印が必要な手続きが「離婚届の提出前」にある場合

財産分与の協議書や公正証書など、離婚届を出す前に実印が必要な書類があるケースです。この場合、まだ姓は婚姻中のままですので、原則として婚姻中の姓の実印が必要になります。

特に公証役場で公正証書を作成する際は、原則として実印と印鑑証明書が必須で、認印での代用はできません。実印をお持ちでない場合は、「姓が変わっても使い続けられる下の名前だけの実印を今作って登録する」か、「先に離婚届を出して新しい姓が確定してから実印を作り、公正証書を作成する」という流れが現実的です。どちらの流れが合っているかは、担当の弁護士や公証役場に事前に相談してみましょう。

実印が必要な手続きが「離婚届の提出後」にある場合

不動産の名義変更など、離婚届提出後の手続きで実印が必要な場合は、新しい姓が確定してから作るのがベストです。

姓の状況印鑑に刻む名前の選択肢備考
旧姓に戻す旧姓のフルネーム・旧姓の名字・下の名前のみ下の名前のみなら姓が変わっても使い続けられる
姓が変わらない現在の姓のフルネーム・名字・下の名前のみ現在の印鑑をそのまま使うことも可能

下の名前のみで作った実印は、姓が変わっても登録を廃止する必要がありません。離婚前・離婚後・再婚後と、姓がどう変わっても同じ一本をずっと使い続けられます。

手続きの流れと、使う印鑑

離婚の手続きは「離婚届を出す前」「出した瞬間」「出した後」で、使える印鑑が変わります。時系列で整理しました。

離婚届の提出前

手続き使う印鑑
離婚協議書の作成実印 または 認印(婚姻中の姓)
公正証書の作成(公証役場)実印(婚姻中の姓)
財産分与の書類への押印実印(婚姻中の姓)

離婚届の提出

手続き使う印鑑
離婚届への押印不要(任意で押印する場合は認印

離婚届の提出後

手続き使う印鑑
住民票・印鑑登録の変更実印(新しい姓)
不動産の名義変更(登記)実印(新しい姓)
銀行口座の名義変更銀行印(新しい姓)

離婚届を提出した瞬間に姓が変わり、婚姻中の姓の印鑑登録は自動廃止されます。提出前に終えておくべき手続きと、提出後に進める手続きを事前に整理しておくことが大切です。

相続の場面別:どの印鑑が必要か

相続手続きは複数の機関にまたがって行われます。それぞれの場面で必要な印鑑を確認しましょう。

遺産分割協議書の作成・押印

書類必要な印鑑印鑑証明書
遺産分割協議書相続人全員の実印(契印も含む)相続人全員分(各1通以上)

複数ページにわたる場合は「契印(割印)」が必要です。各ページのつなぎ目に実印を押します。押し方は専門家に確認しましょう。

預貯金の相続手続き(金融機関)

被相続人の銀行口座の解約・払い戻しには、各金融機関所定の書類への押印が必要です。

書類必要な印鑑印鑑証明書
相続届(金融機関所定の書式)相続人全員の実印相続人全員分(各1通)
払戻請求書払い戻しを受ける相続人の実印必要

金融機関によって必要書類の書式が異なります。各金融機関の窓口に事前に確認しましょう。

不動産の相続登記(法務局)

相続した不動産を自分名義に変更する「相続登記」には、法務局への申請が必要です。

書類必要な印鑑印鑑証明書
相続登記申請書 / 司法書士への委任状申請人(財産をもらう人)の認印(実印でも可)不要(代わりに住民票の写しが必要)
添付する遺産分割協議書相続人全員の実印財産をもらわない人を含む全員分

相続登記の申請書自体には認印でも手続き可能ですが、添付する「遺産分割協議書」に全員の実印と印鑑証明書が必要となるため、結果として実印一式を準備することになります。2024年4月より相続登記が義務化されました。

相続税の申告(税務署)

相続税の申告が必要な場合(相続財産が基礎控除額を超える場合)、税務署への申告書類を作成します。

書類必要な印鑑印鑑証明書
相続税申告書不要(現在は押印義務が廃止)不要

法改正により現在は申告書への押印は不要となっています。申告期限は、被相続人が亡くなった日の翌日から10か月以内です。

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