Sirusiでは、印鑑を単なる実用品ではなく、一生ものの印(しるし)としてデザインしています。
ロゴのように「自分らしさ」を表しながらも、正確な文字としての機能も備えている必要があります。そんな印影づくりの舞台裏を、ほんの少しだけお見せします。
文字の原型をたどるところから始まるデザイン
どの書体でデザインする場合でも、最初に行うのは、文字の成り立ちや正しい字形の確認です。
篆書体は、現在の漢字のかたちの基礎となった書体であり、印鑑づくりにおいて重要な土台となります。Sirusiでは、象形文字から篆書体へとつながる文字の歴史をきちんと踏まえたうえで、印章として適したデザインを一つひとつ丁寧に組み立てています。
Sirusiのデザイナーは、「印章辞林」という漢字の専門書を片手に、字の解釈とデザインを融合させます。この辞典は、長年使い込まれたもの。ページの角が折れていたり、書き込みがあったり――そんな道具を使いながら、日々アイデアを膨らませ、デザインの引き出しを増やしています。

全て「手書き」で仕上げる印影
近年、フォントを機械的に流し込んで印鑑を作る方法もありますが、フォントを配置するだけでは、既視感のある印影になったり、場合によっては既製品とみなされ、登録に適さないこともあります。
Sirusiでは、一文字一文字を手書きで丁寧にデザインしています。オリジナル書体「印グラフィー」もすべて手書き。同一の彫刻名・書体で作成しても、唯一無二の印影を作成します。

印グラフィーのデザイン工程
デザイン印鑑は空間バランスが命
印グラフィーは、篆書体をもとにしたSirusiのオリジナル印鑑です。デザインの基本原則である「近接」「整列」「反復」「コントラスト」を取り入れながら、印面の円に美しく収まる形を追求しています。
特に、空間バランスの感覚が十分に磨かれていないと、見た目だけではそれっぽく作れても、「なんとなく落ち着かない」「違和感がある」という印象になってしまいます。バランスの良し悪しは感覚的な部分でもあるため、デザイン印鑑をつくっている各社のサンプルを見比べて、ご自身の感覚にしっくりくるものを選んでいただくのがよいかと思います。










Sirusiでは、印鑑としての機能を重視しながら、空間配分にこだわり、見た目にも心地よい印影づくりを心がけています。
デザインをするときは、最初に置いた一本の線からイメージを膨らませ、ときには完成まで数時間かけることもあります。
正しい字形を守るから印鑑登録にも対応できる
デザイン印鑑をつくるうえで最も重要なのは、「文字として成立しているかどうか」です。
一見それらしく見えるデザインでも、文字の成り立ちを無視したものは印章としての役割を果たすことはできません。
Sirusiのオリジナル書体「印グラフィー」は、篆書体をベースにしており、実印や銀行印としての登録要件にも対応できる設計で制作されています(※一部例外あり)。
それを可能にしているのは、文字の構造を正確に守ることを基本とし、装飾目的の線や文字と無関係な要素を加えないという姿勢を大切にしているからです。

吉相体のデザイン工程
吉相体は、篆書体をベースに、文字が八方にのびるようにアレンジした人気の書体です。
八方に広がる自然なカーブ
吉相体は、外枠に向かって文字が広がっていくようなのびやかさが特徴です。
ただし、フォントを使って機械的に作られた吉相体では、四隅の処理が急なカーブになっている場合があり、本来の美しさやバランスが損なわれてしまうこともあります。
Sirusiでは、手書きで丁寧に八方に広げていくことで、文字の内部にも自然なカーブを描き、違和感のない美しい印影を作り上げます。
バランスを見極める。印鑑における字形の選択
たとえば「野」という字ひとつ取っても、「」「
」「
」など、さまざまな字形があり、どれも正しい文字です。
その中から、文字の位置や隣り合う字とのバランスや空間の密度を考慮し、もっとも美しくおさまるものを選んでいきます。この作業は、全体の印象に大きく影響する重要なステップです。
このような視点に加え、実際に彫刻した際に欠けにくいかどうかといった実用面も考慮して選ぶこともあります。

※この判断に絶対的な正解はなく、あくまで一例です。彫刻内容によって、最適な選択は異なります。
お客様のご要望に合わせ、進化し続けるデザイン
印鑑のデザインは、2000年代には太く重厚な字体が人気でしたが、2010年代は、やや細字でミニマル・幾何学的なデザインが好まれるようになりました。さらに2020年代に入ってからは、より繊細で洗練された細字のニーズが高まっています。これは、世の中のデザインの流行とリンクしているのかもしれません。
もちろんSirusiが幾何学的なデザインを多く提供しているということもありますが、吉相体や篆書体などの伝統的な書体においても、近年は「少し細く柔らかな雰囲気」や「シャープで洗練された雰囲気」といったご要望が増えてきました。
一方で、しっかりとした太さのある印影を求める声も根強く、好みは二極化している印象です。

どんな時代でも、最も大切なのは、お客様一人ひとりの好みに寄り添うこと。
Sirusiでは、時代に合った感性を取り入れながらも、伝統の美しさを大切にし、多様なご要望に応えられるデザインを日々探求しています。
一つひとつに、デザイナーの想いを込めて
Sirusiの印影を手がけるのは、経験豊富で多彩なデザイナーチームです。
これまでに50万本以上の印影を制作してきた代表をはじめ、30万本超の実績を持つデザイナーなど、印影作成歴20年以上の希少なベテランが在籍。さらに、グラフィックデザインや書体に精通した個性豊かなメンバーまで、多様な視点と感性に富んだデザイナーがそろっています。
生産性を重視する印鑑業界では珍しいことかもしれませんが、Sirusiでは、単なるオペレーションで印影をつくるのではなく、それぞれのデザイナーがクリエイティブな過程を経て、デザインを仕上げています。

大量生産を前提にした場合、印影デザインもわずか1~2分で調整されてしまうことがあると聞きます。
しかしSirusiでは、名前の一文字一文字の意味と個性を考え、最適なかたちを探りながらつくりあげています。
印影は、単なる印字ではなく、「その人」「その会社」らしさを象徴するかたち。だからこそ、量産では生まれない表情やバランスにこだわり、妥協なく仕上げています。
納得いただける一本に仕上げるために
これまで、Sirusiのこだわりをご紹介してきましたが、私たちがもっとも大切にしたいと思うことは、お客様の好みに合ったデザインをお届けすることです。印鑑屋がいくらデザインのこだわりを語っても、最終的にお客様に心からご満足いただけるデザインでなければ意味がないと思うのです。
そのためSirusiでは、仕上がりイメージを事前にご確認いただける、デザイン確認サービスをご用意しています。お客様のご要望に沿ってデザインを調整し、最大4案までご提案できます。
例えば「この文字を少し大きく見せたい」「このハネをもう少しダイナミックにしたい」などの細かなご希望や、「別の書体で見てみたい」といった他のバリエーションにも対応します。お客様の理想に近づけるよう、柔軟に対応させていただきます。
印鑑は、自分の名前をかたちにするもの。
何年先も、「やっぱり、これにしてよかった」と思っていただけるように――
Sirusiは、お客様の大切な一歩を形にするため、今日も一つ一つ心を込めてお作りしています。