スタートアップやフリーランス同士の事業統合など、対等な立場で事業を立ち上げる共同経営が増加しています。このような会社では、代表取締役を2名以上置く「共同代表制」が選ばれることがあります。共同代表制を採用する場合、会社設立時に必要となる「会社実印」の管理方法について、注意すべき点をご案内いたします。
代表取締役が2名以上の場合、会社実印はどうする?
通常、会社の代表取締役は1名で、会社設立時に1本の会社実印を登録するのが一般的です。
しかし、会社法では複数の代表取締役を設置することが認められており、共同経営の場合、代表取締役の人数分の実印を登録することが許可されています。例えば、2名の代表取締役がいれば、それぞれが異なる印鑑を登録でき、1社から実印を2本登録することが可能となります。
共同経営の場合、会社実印の運用方法には2つの選択肢があります。
- 「会社実印を1本で運用する方法」
- 「代表者それぞれが会社実印を持つ方法」
どちらを選ぶかは、会社の運営方針に合わせて決めることができます。
会社実印を1本で運用する場合
まず、会社の実印は、複数の代表取締役が同時に管理することは法律で認められていません。そのため、実印の登録と管理は代表取締役のうち1人が担当することになります。
この方法では、会社実印を1本だけ登録して運用することになりますが、代表取締役が複数いる場合、共同代表制のメリットを十分に活かせない可能性があります。

メリット
管理がシンプル
契約や決済の頻度が少ない場合、1本の実印で十分対応でき、管理も簡単です。取引件数が少なく、会社規模が小さい場合に特に有効です。
デメリット
複数の代表取締役のメリットが活かせない
実印を管理している代表取締役が1人になるため、他の代表取締役が実印を押すことができません。そのため、複数代表取締役の制度を活かしきれず、共同経営のメリットが薄れることがあります。
代表者がそれぞれが会社実印を持っておく場合
代表取締役が複数名いる場合、それぞれが法務局に1本ずつ会社実印を登録できます。この方法を採用することで、会社の意思決定を多角的に行うことができます。
例えば、A事業の代表取締役が1本、B事業の代表取締役がもう1本の実印を持つことで、それぞれの業務に合わせて適切に印鑑を使用でき、業務の効率化が図れます。

ただし、この方法を選択する際には、代表取締役が個々に契約を交わすことが可能となるため、契約を締結する際のルールや管理体制を明確に決めておくことが重要です。
メリット
意思決定の多角化と明確化
複数の代表取締役がそれぞれが契約や決裁を行えるため、意思決定が迅速に行えます。複数の事業を展開している場合や大規模な会社にも適しています。
デメリット
契約ルールの設定が必要
代表取締役が個々に契約を交わすことができるため、契約時の判断基準やルールを事前に決めておかないと、意思の疎通が不足し、会社にとって不利益な契約を交わすリスクが生じます。
共同経営で会社実印を運用するときの注意点
会社実印を1本で運用する場合でも、代表者それぞれが実印を管理する場合でも、複数名の代表取締役がいる以上は、事前に印鑑の使用ルールを明確に決めておくことが極めて重要です。
どの代表取締役が、どのような場面で印鑑を使用するのか。また、契約や決裁の手続きにおいて、どのように連携するかをあらかじめ明確にしておく必要があります。取り決めが曖昧なままだと、一方の代表取締役が他方に十分な確認を取らずに契約を進めてしまうなど、思わぬトラブルにつながるおそれがあります。
明確なルールをあらかじめ整えておくことで、会社の運営がスムーズになり、安心して業務に集中することができます。契約や決裁の管理をしっかり行い、信頼できる体制のもとで、ビジネスの成長を着実に進めていきましょう。
よくある質問
いいえ、全く同じ印影の印鑑を2本登録することはできません。代表取締役が2名以上の場合、各代表者には異なる印鑑を作成し、それぞれ印鑑登録を行う必要があります。
会社実印には通常、会社名と肩書名を入れます。個人名を入れることは稀で、役職や肩書きを入れることで公式な印鑑としての役割を果たします。
もちろん、ご希望があれば個人名を入れることも可能です。柔軟に対応いたします。
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